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あの時は自分があの人に助けられた事ばかり気になってつい忘れていた。 だけど私…あの時、自分で散らばった資料は拾わず、あの人に全部拾ってもらったんだった。 「御坂さん?」 柊さんが様子が止まってしまった私を伺うように覗きこんできた。 その視線に私は自分の視線を交える。 あの人の事でこれ以上柊さんを困らせたくないのに。 それにこんな事…思いたくないし、言いたくないけれど、でも…… あの人しか考えられない。 「…心当たりがあるんだな、何があった?」 柊さんの口調が職場ではなく、私と二人でいる時の雰囲気に変わった。 吉沢さんは少し驚いた様子をみせたけど、すぐに私へと視線を移す。 これ以上黙っている事は出来ない。私はその人の名前を口に出した。 「築島さん…が、プレゼン関係の資料を触った最後の人…です」
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