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「私に…私に時間を下さい」 ギュっとコブシを作り、彼に問いかける。 「築島さんに直接話を聞きに行くのは私がします。 …あの人と二人でもう一度、話がしたいんです」 「…………」 彼を見上げると、怒りよりも切なさと不安が滲み出てる瞳が、力強く彼を見つめている私を映している。 私は一目も逸らさず、柊さんを見続けた。 「それに、何よりこんな事態を招いたのは私の不注意が一番の原因です。 今日中に必ず見つけてみせます。お願いです!」 最後は語尾が強くなってしまったけれど、それだけ気合が入っている証拠だ。 それでもまだ迷っている柊さんは首を横に振る。 「それだけは絶対に駄目だ。行かせない」 「だ、大丈夫です!私、もう絶対に挫けたりしませんから!」 だって、さっきまで私はあんなにも幸福感に満ち溢れた時間を与えてもらったんだから。 だから、きっと大丈夫。
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