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震えた手で受話器を電話に置いた。 知らずのうちに流れていた汗。相当、緊張していたみたい。 「大丈夫か?」 いつの間にか隣のデスクに戻って来ていた柊さんが声を掛けてくれた。 私は慌てて笑みを作る。 「はいっ!大丈夫です!お昼に会う約束を取り付けました。 午前の業務を終えたら行ってきます」 出来るだけ明るく気丈に彼に伝えると、柊さんも「わかった」とだけ返事をくれた。 もっとお小言を言われるのかと身構えていただけに、拍子抜けだ。 「くれぐれも無理はしないように」 「はいっ! ……あのー、柊さん。私、午前の業務はどうしましょう?」 「先ほど吉沢さんと話していました。 最悪のケースを考えて時間的に厳しいですが、出来るところまでまた最初からデータを作り直しましょう。 復元は不可能ですから…」
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