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お昼を外で済ます人達の群れに紛れて、エレベーターを降りた私はその人達とは正反対の方向に足を進める。 皆はエントランス。私は受付だ。 この時間は受付も休憩中で事務作業の人が一人いるのみ。 事務作業は受付よりさらに奥にあるからカウンターに手を置き、身を乗り出して作業中の受付の人に声をかけた。 「あの…すみません。”販促課”の御坂ですが築島さんはいらっしゃいますか?」 私の声に気付き、顔を見せてくれた先輩は受付の研修の時にお世話になった優しい人。 懐かしむ笑顔を見せてくれて簡単に挨拶をした後、受付嬢専用のロッカールームまで行くと築島さんを呼んでくれた。 息を呑む音が耳に響く。 何を言われてもいいようにここに来るまで言葉を用意してきたつもり。 もちろん何から問いただそうかも全部整理してきた。 あとは、私が流されないように気持ちを強く持つだけだ……
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