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「わかりました」 私がそう伝えると何も言わず中庭へと進む築島さんの後ろに私も着いていく。 相変わらず姿勢はお手本のように整っていて、歩く姿なんてモデルのように綺麗だ。 でも、吉沢さんは言っていた。 築島さんは”販促課”の仕事が気に入ってこの会社に入社したんだって。 なのにここまで完璧に受付嬢の仕事をこなし、この年齢で受付の責任者なんだから、相当苦労と努力をしてきたんだろう。 そういう所は確かに尊敬はするけれど、でも私に…私達にしたことは許される事じゃない。 改めて強い気持ちを持ち、通路にある大きな窓ガラスで自分の顔を見て、気合を入れなおした。 数分歩いたところで太陽に照らされて輝いている緑の木々がある中庭に着いた。 緑の隙間からは光が零れていて、木で作られた新しいベンチに自然の温もりを与えている。
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