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「いえ、そうじゃありません」 ここで声のトーンを変えた私に築島さんは目をピクッと動かした。 口は笑っているけれど、目は笑っていない……そう見えた。 「……あ、あの時。築島さん、私の赤色のクリアファイルに入ってある資料を私の代わりに拾ってくれましたよね」 「……そうね、拾ったわ。だって御坂さん、とても急いでいるように見えたし、相手が享楽商店の山下部長が相手だったから。 この機会を逃したら色々と面倒な人だと思ったから、行かせてあげたのよ」 「それは…ありがとうございます」 「それが一体なんだっていうの?何か不都合な事でも?」 ピリッとした空気になっているのがわかる。 築島さん本人も声のトーンが全然違う…… こんな声、受付の研修でも今までの付き合いでも聞いた事がない。 そんな緊張感のある雰囲気が今の私達を纏っている。
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