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以前、琴から「柊さんはもう少し愛想よくした方がいいです。ただでさえ目付きが悪いんだから」っと言われ、それから始めた”愛想笑い”という物は中々の効果があるらしい。 周りの反応も悪くなく、今のように問い質してもすぐに解決する事が多くなった。 こういう事も彼女に教えてもらった。 その彼女は今、どういう表情をしているのだろうか…… 愛想笑いなどきっと出来ていないだろう。悔しさに顔を歪ませているはずだ。 吉沢さんの話では築島は”販促課”の部署を強く希望していたと言っていた。 もうその時点で俺には築島への疑念が確信に変わった。 昔から人を羨む観念が強い女だった。 言葉の端々にそのような想いが強く現れていて、自分も同等、もしくはその立場にならなければ気がすまない。 だから、自分よりも下である琴が、自分が手に入れられなかった物を手に入れたことがどうしようもなく気に入らなかったのだろう。 全てはそこだ。
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