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悲しく細められていた目は大きく見開き、癖なのか髪を触る手の動きも止まり俺を見つめている築島。 だが、構わず話を続けた。 「もう御坂から話は聞いていると思いますが、私達はあなたが御坂のUSBを取り、共有パスワードからパソコンに保存されているプレゼン関係のデータを全て削除したという事もわかっております」 「……だからそれは誤解よ」 「では先ほど警備員に聞きましたが、あなたが昨夜”販促課”のフロアに入って行くところを見たという証言があります。 所属が受付のあなたが私達の部署に何の用があったのでしょうか? しかも皆が帰った後に」 警備員の話は鎌を掛けてみた。 実際は警備員に聞きに行く暇などなかったし、築島がいつ琴のデスクに訪れたのかなど知る由もない。 ただ、この女ならこれぐらいの事はするだろうと、そう確信はしていた。
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