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「どうしても私を悪者にしたいのね」 「それ以外どう捉えろと」 築島は気を取り直したのか、クスッと笑い数歩俺に近づいてくる。 「御坂さんの事、放っておいてもいいの?多分あっちで泣いているわよ。見てたんでしょ?私達のやり取り。助けてあげればよかったのに」 「言われなくても彼女を慰めるのはまた後でします。あなたと違い責任感の強い女性です。 先ほど私が助けたとしても、彼女自身がまた自信を無くすだけですから。だからあえて口出しはしませんでした」 「…随分と信用しているのね」 「えぇ」 それまで平静を装っていた築島の表情が一瞬歪んだように見えた。 悔しがるその顔は酷く印象に残り、苦い感情しか浮かんでこない。 さっさとUSBを返してもらい、一刻も早く琴の元に向かいたい気持ちは膨らんでいくばかりだ。
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