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握りつぶした紙が俺の手のひらの中でさらに小さく潰れた。 反論出来ないまま、苦虫を噛み潰した顔で目の前の相手を見据える。 築島の言う通り、プレゼン本番まで間に合う可能性はゼロに等しいからだ。 なぜなら、琴が作ったデータは俺は一切チェックをしなかった。 彼女を信用して全てを任していた結果がここに来て仇になった。 彼女しか知らないデータは彼女にしか作れない。 それが本番までに間に合うのかどうか保証はなく、それ以前にプレゼンには絶対に必要な予行練習には確実に間に合わない。 そして予行練習は行わず、そのまま本番を迎えるしかなくなってしまう…… そこでもし失敗すれば築島の言う通り、琴は間違いなく全責任を感じる事になるだろう。 そしてこの会社を去ることを選ぶのかもしれない。
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