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重く鈍い痛みが胸に突き刺さった。
以前にも、駐車場でこうして崩れて座り込む琴の姿を見つけ、声を掛けたことがある。
その姿はあの日と全く同じなのに、あの時よりもずっとずっと小さく見える彼女を見つめ続ける事が出来なくて、堪らず後ろから引き寄せ、抱きしめた。
「きゃ…っ!……あっ…ひ、柊さん……」
「……遅くなった」
後ろから覗きこんだ顔は、何度も手で擦ったのか目の周りは真っ赤に腫れていて、少し触れた頬同士は涙を流していた形跡があり、軽く湿っていた。
俺から視線を逸らすその瞳も充血して、今すぐにでも雫が零れてきそうだ。
そして俯いた琴は、回した俺の腕をその細い両手で握り、額を擦りつける。
「ごめんなさい…私、やっぱり駄目でした……」
謝罪の言葉を言った声は微かに震えていた。
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