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半ばやけくそになりながら椅子から立ち上がり、外出の準備を始める。
これも築島の家に行ってさっさと用を済ませ、彼女を安心させたいが為の行動だと自分に言い聞かせた。
「柊さん…」
下から覗き込むのは疲労と心労で疲れ切った琴の顔がある。
その表情を見て、俺自身がこんな気持ちでどうする…っと気持ちを切り替えた。
「行ってくる。全部終わったらまた戻ってくるから。待っててくれ」
「…はいっ」
これほどまで帰宅の言葉に喜んでくれる彼女の姿は見た事がなかった。
それほど、俺と築島を二人で会わせる事に対しての不安が彼女にはあるんだろう。
その不安を一刻も早く取り除いてあげたくて、上司に外出する事を告げた後、車を停めている駐車場へと向かう足取りはいつも以上に早歩きになる。
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