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記憶にある部屋番号は605号室。 外観も新築のようだと思ったが、エレベーターや通路を見る限りやはり建ってそんなに日は経っていないようだ。 グレー色の扉の前に立ち、表札はないもののここで間違いない築島の家。 とうとうここまで来てしまった…っとやるせない気持ちになりながら、インターフォンを押した。 ベル音が鳴り、しばらくしてから鍵を開ける音が聞こえ扉が開いた。 眉間に皺を寄せ、威圧的な態度で築島を見下ろしたが、相手は俺とは正反対に満面の笑みで俺を迎え入れた。 「遅かったのね、待ってたわ」 現れたその姿に言葉を失う。 いつの間に済ませたのか、築島は風呂上りの姿で現れた。 ほんのりと赤みがかかっている頬にしっとりと濡れている長い髪は纏め上げられていて、誰が見てもわかる姿だ。
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