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「まるで自分の好きな女は違うところにいるっという防衛線を張られた気分にさすがになったわよ。 だから、余計燃え上がったんだけどね」 「……その感情が今でも続いているから、彼女に嫌がらせをしたのですか?」 「まさか。そんなに執念深くないわ。でも、御坂さんが柊君と中学が一緒だって教えてくれた時にすぐにわかったけどね。 あなたが『市松人形みたいな可愛い子だった』って言ったのを覚えていたから。 そのまんまじゃないって心の中で笑ったわ。 『柊君って趣味が悪いのね、こんな子が初恋の子だったなんて』って」 いつまでもワンピースのポケットから手は出さず、琴を馬鹿にするその言い草に苛立ちが募り、耐え切れなくなってとうとう自分の足を玄関に踏み入れ手を伸ばした。
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