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急いで清算を済ませ、車へと乗り込む。 鞄の中からノートパソコンを取り出し、築島から奪い返したUSBとメモリースティックの中身を調べた。 どのファイルをクリックしても、俺が今までチェックをしたことがあるデータは全てどれも削除される事がないまま残っており、USBに入っているデータも琴が作成した物に間違いないだろうと思える内容ばかりだった。 その証拠に彼女のデータ作りにおける癖がいくつも見られた。 毎日琴のデータ作成に向き合っている俺だからこそわかる癖。それが何箇所にも見られるから間違いない。 ハンドルに額を預け、脱力感に襲われた。 「……よかった。本当に……」 これを早く彼女の元に届けてあげ、安心させてあげなければ。 ノートパソコンを鞄に入れ、USBとメモリースティックをハンカチに大切に包んでポケットに戻した。
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