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車線変更を繰り返し、何とか最短時間で辿り着いた会社。 残業している社員以外はもうすでに帰宅しており、ビル内はひっそりと静まり返っている。 車から降り、受付嬢の代わりに受付前で立っている警備員に社員証を見せ、ビル内に入って行く。 この時期は残業をする者が少ないのか、どのフロアも人が動く物音はしなくて静寂でぼんやりと灯りも付いているのみだ。 この状況で一人残ってデータ作成を続けている琴の姿は、とてもじゃないが直視出来ない。 一刻も早く彼女の元に辿り着きたくてエレベーターに乗り込み、15階の”販促課”を目指した。 上昇したエレベーターは一度も停まらずに上り続ける。 到着し、少しの開いた隙間から無理矢理身体を滑らせて出た後は廊下を走り、”販促課”の扉を勢いよく開けた。
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