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「柊さんが…必ず約束を守って取り返してくれるから、私はここで待ってますっと言って帰ってもらったんです。 せっかくの厚意を無駄にして申し訳なかったんですけど… でも、吉沢さんも柊なら大丈夫だろうって。ちゃんと迎えてやってくれって言ってくれたんです」 琴自身のような純白のブラウスの胸の前に両手をあて、眉を下げて期待を込めた瞳で俺を見上げる彼女。 そして先輩である吉沢さんの俺への信頼がこもった言葉。 もう、温かくなった俺自身の胸に彼女を包み込む事を我慢出来なかった。 「きゃっ…!あ、あの、柊さ…」 「…待たせた。本当にすまない」 「い、いえっ!私の事はいいんです!っていうか、私が一番の原因で… あ、あの、お疲れ様でした!築島さんとはどうなっ……」 そこまで言って俺の胸の中に抱きすくめていた琴の動きが止まった。
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