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「どうしたんですか?柊さん…もう帰りましょ?明日もお仕事…」 「まだ、話は終わっていない」 真っ直ぐに私を見据えてくる視線に身体が固まってしまう。 彼の鋭さの中にある不安に揺れる瞳に、どうしようもなく胸が締め付けられた。 「話って……私の誤解なんですよ……うん、だからもうこの話は大丈夫…」 情けなく眉を下げて話を終わらせようとする私の両肩から手を離し、浅く深呼吸をした柊さんは目を疑ってしまう行動に出た。 「えっ?なっ…何をしているんですか?!」 目の前の柊さんは突然ジャケットを脱ぎ、ネクタイも解き始める。 床にはジャケットが落ちる音がした。 「…誤解を解くためと…あと、君に謝らなければいけない事がある」 手首のシャツのカフスを取りながら、伏せ眼がちの柊さんは私の顔を申し訳なさそうに見た。
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