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謝らなければいけないと言われてしまった事に、また怯えてしまう。 カフスさえも床に落とした彼は今度はシャツのボタンに手をかけながら口を開いた。 「もう隠し事はしないと言ったのに、嘘をついてしまった。本当にすまない」 どくどくどく……っと心臓が胸から飛び出てきそうだ。 何も言えず、私は話の続きを待った。 「……さっき、築島の家に、行ってきた」 どっくん…っ!と、重い低音を響かせて心臓が鳴った。 それを言うと柊さんのシャツのボタンにかかっていた手も止まっている。 「でも、それはこのUSBとメモリースティックを取りに行くためだけだ。本当にそれだけなんだ。これだけは信じてほしい。俺は築島に触れてもいないし、部屋にももちろん入ってはいない」 力強く鋭い瞳は私から一目も逸らさない。 淀んでいない彼の瞳からは、もう潔白なのは明らかだった。
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