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手を伸ばし、彼の腕にそっと寄りかかる。
そして思いのままの言葉を口にした。
「…私も、二人がいいです」
「あぁ」
それ以上何も言わなくても、今の私達の心は通じ合える。
離れて不安で燻っていた気持ちは一ミリも残っていない。
そういう風に感じられるのは、柊さんだからだ。
この人を好きになってよかった…本当、そう想う。
「あっ、ちょっと待ってて下さい」
彼から離れた私は自分のデスクへと戻る。
置きっぱなしになっていたUSBとメモリースティックは大切に引き出しの中に入れ、鍵を閉めた。
「これだけは絶対に忘れないようにしなきゃ」
「はっ……そうだな、もうこんな事は二度と御免だ」
全てが終わった今だからこそ、こうして軽く笑い返してくれるんだろう。
シャツを全部留め終えた彼の横に並んで、私達は手を繋いでフロアを出た。
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