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エレベーターの中でも繋がれた手は離れる事はなく、そのまま二人で降りる。 そしてエントランスに備え付けられている大きなダストボックスに突き進み、柊さんは丸めたジャケットとネクタイを何の惜しみもなく投げ入れた。 その様子を見ていた警備員のおじさんはとても不思議そうにしていて、柊さんに「勿体無いっ!」と問いかけていた。 「私には処分すべき物なので。ただ、こんな物を捨ててしまい、清掃の方に手間を取らせて申し訳ないとは思っていますが」 っと、淡々と語っていたのを、さらに不思議そうに首を傾けたおじさんの態度に、私は笑いを堪えるのに必死だった。 「さぁ、今度こそ本当に帰ろう」 「はいっ!」 私達をまだ不思議そうに見る警備員さんに会釈をして二人で出たオフィス。 空を見上げると綺麗な三日月が雲一つない空から姿を現している。 それは見惚れるほど、鋭いけれど柔らかい曲線を描いていた。
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