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「これからそう呼んでくれるか?」
下から私を覗きこむ彼はまだほんのりと顔は赤いけれど、それ以上に期待を込めた瞳で私を見つめている。
”湊さん”ってずっと呼びたかったのは私の方だ。
誰も呼んでいない彼の名前。
いつか私だけが呼びたかった。
だから笑顔で小さく頷いた。
そんな私を見ると、湊さんはさっそく催促をしてくる。
「名前……呼んでくれ」
「は、はいっ。えと…み、湊…さん」
「もう一度」
「湊さん…」
「まだ、もう一回」
「み、湊さん」
「まだ」
「湊…さん」
「まだ…」
「もうっ!何回呼ばせるんですか?!」
「何度でも。これからずっと…その声で呼び続けてくれ」
名前を呼ぶたびに近づいてきていた彼の顔は、そう言った途端私を捕らえて深くキスをしたままソファに押し倒した。
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