エピローグ

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その言葉に留美はまだ何か問いただそうとしていたけれど、吉沢さんの不意打ちの一言で呆気なく黙ってしまう事になる。 「留美もいつか寿退社しような」 留美の頭の上にポンッと手のひらを乗せながら、公開プロポーズをしてくれた吉沢さん。 その言葉にみるみるうちに留美は赤く染め上がり、潤んだ瞳で吉沢さんを見つめている。 吉沢さんも言ったものの、照れ臭いのか掛けている眼鏡を外してハンカチで埃なんか取っちゃったりしてるし。 そしてそんな二人を呆然と見ているのは私達。 築島さんのお見合い話には正直まだ混乱しているけれど、今、目の前で聞いてしまった公開プロポーズ。 やっぱり心の中で思ってしまうのは 『いいなぁ……』 という言葉が駆け巡っている。 羨ましくて尖らせたくなる唇を誤魔化すため、グラスに口付けると湊さんがすぐそばまで近寄って来て、誰にも聞こえない声で囁いた。
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