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「ご両親は…きっとそんな事、思っていないと思いますよ」
ピクッと動いた指先を私の指先と絡め、”大丈夫”という想いを込めて彼の手を握り締めた。そして私へと視線を変えた湊さんと視線を合わせる。
「だって、私、今日本当に気合を入れてお墓をピカピカに磨こうと思っていたんです。でもね、いざ来て見たら殆どする事がないくらい、とっても綺麗でした。
それって湊さんが時間を作ってここによく来て手入れをしているって事ですよね。
ご両親、きっと凄く…それはすっごく喜んでくれていると思いますよ。絶対!」
別に彼を説得するため…とかじゃなくって、こう思ったのは本当だ。
事実、私は少しの草抜きとスポンジでお墓を磨いただけで特に何もしていない。
でも、これだけ手入れが行き届いているのを見る限り、誰かが定期的に通って手入れをしているって事だ。
こんなに綺麗にするなんて、この人以外考えられないもの。
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