プロポーズ編

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緊張感を醸し出している彼は滅多に見られるもんじゃない。 だからこそ好奇心でもう少し父と湊さんの様子を見学していたいっという欲求に駆られたけれど、額に一筋の汗が整えられた前髪の間から見えた。 今まで仕事でもプライベートでも、緊張のあまり汗を掻く湊さんの姿なんて見た事がない! これは彼にとってかつてない緊張感の中での挨拶なのかもしれない。 そう思った私は、もう自然に身体と口が動き出していた。 「あの、あのですね、湊さん。こっちにいる少しぽっちゃりしているのが母で向こうで私達を見ている白髪で髭がある人が父で…」 「そんな事、見れば分かります」 父には聞こえないように顔を近づけて喋りあう私達。 そりゃそうだ、お父さんとお母さんだって見れば分かるよね。
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