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私から身体を離すと、父に向かってお手本どおりのお辞儀を披露して彼は自己紹介を始めた。
「初めまして。琴音さんと真剣にお付き合いさせて頂いております、柊 湊と申します。
もっと早くにご挨拶に伺うべきだったのに、こちらの事情で遅くなり申し訳ございません」
頭を下げている湊さんはどんな表情でこの言葉を言っているのかわからないけれど、正真正銘、私にとって両親にする初めての彼氏の紹介は、この住み慣れた玄関で行われ、顔がひきつるくらいの恥ずかしさと嬉しさがごちゃ混ぜになる…っという状況になった。
お母さんは湊さんのそのスマートな立ち振る舞いに圧倒されていつまでも凝視しているし、お父さんといえば……
ニコニコと満面の笑みで頭を下げている湊さんの姿を眺めている。
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