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そんなお父さんの行動にお母さんがフォローを入れてくれた。
「ごめんなさいね。お父さんったら琴音が初めて彼氏を紹介するって言うもんだから拗ねちゃってるのよ。
今日なんか一日そわそわしちゃってねぇ…本当、父親の威厳も何もない…」
お母さんがこっそり暴露してくれているけれど、扉の向こうのリビングからは大袈裟に新聞紙を開く音と盛大な咳払いの音が聞こえてくる。
苦笑いの私とは反対に湊さんは気難しい顔つきになってしまっている。
「み、湊さん!笑顔、笑顔!!あと、手土産も!」
「…あぁ」
彼がこんな状況をどこまで予測していたのかは理解不能だけれど、でもプレゼンでもあれだけ流暢にトークが出来る彼の事だ。
打ち合わせでの交渉だって、いつも完璧にこなしている。
だから私のお父さんの相手くらい軽いものだろうと、この時は気楽にまだ考えていた。
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