プロポーズ編

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お母さんに出してもらった来客用のスリッパを履き、リビングまで彼を案内しながら様子を伺った。 やっぱり気難しい表情に崩れたまま。 これじゃあ、いつもの凛々しくて厳しい目線を保ったままの方がずっと男らしいと思う。 私はリビングに先に入ったお母さんを見届けて湊さんを引き止め、リビングに聞こえない声で彼に耳うちをする。 「湊さん。お願いですからその顔、どうにかしてください」 「……なかなか失礼な事を言うな、君は」 「悪い意味で言ってるんじゃないんです!もう笑顔はいいですから、普通にしておいてください!普通に! その仏頂面はお父さんに印象最悪ですよ?!」 それなら私のお父さんはどうなんだ?って話だけど、お父さんがこんなに私を溺愛しているなんて夢にも思わなかった。 湊さんにもそんな事は一切話していなかったから、彼自身も困惑しているのかもしれない。
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