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そんな押し問答をしていると、なかなか入ってこない私達を呼ぶお母さんの声が、キッチンから聞こえてきた。
「琴音?何してるのー?早く湊君を連れて入ってきなさーい」
お母さんの”湊君”呼びに思わず絶句してしまった私。
湊さんは中学時代の先輩だったって言ったからそう呼ぶのはしょうがないけれど、子ども扱いされているみたいで何だか複雑だ。
それには彼も一緒みたいで耳がちょっと赤くなっている。
「と、とりあえず入りましょう。湊さん。はい、これ持ってください」
「…わかった」
ここに来る前に湊さんに頼まれていた、私が用意したお父さんの大好物の純米酒と、お母さんが今夢中でハマっているという歌舞伎鑑賞のペアチケットとフルーツの盛り合わせの手土産を彼に差し出す。
事前リサーチをしておいて正解。
二人にはとても喜んでもらった。
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