プロポーズ編

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それでも、その場が和んだのはそこまでだった。 頑なに湊さんをスルーし続けるお父さん。 一応、問いかけたら返答はあるものの、そこから話題が広がるわけではない。 お母さんはいつもマイペースな人だから、まず頼りにならない。 だから私一人が間に入り、場を繋ぐ…っという一人で修羅場をくぐり抜けている気分だった。 あっ、でも修羅場といえば湊さんが一番そう思っているのかもしれない。 だって仕事でのあの淡々とした口調は全くなく、ずっと何かを言いかけては考え直し、言おうとするけれど結局口ごもってしまう。 私からすれば 「私のお父さんに何で?」 っと不思議なものだけど、彼の立場になってみれば私が湊さんのご両親が今もご健在なら、きっと彼以上に緊張の塊だったに違いない。 だから、ここはやっぱり私がサポートしてあげなければ…!っと考え、必死に場を取り繕った。
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