プロポーズ編

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『俺は、これだけは誰にでも聞こえるこんな場所では言わないから』 『それまで待ってて下さい』 以前行われたプレゼンの打ち上げの時、吉沢さんと留美の公開プロポーズを奏さんのバーで見た湊さんから言ってもらったこの言葉。 その言葉を信じて、いつどんなシチュエーションで言ってもらえるんだろうってずっと夢見ていたのに。 きっと一生忘れられないプロポーズをしてもらえると思っていたのに。 まさか今日、親の前で言われるなんて。 「しかも誰にでも聞こえるあんな場所だなんて……」 「…何か言ったか?」 「いーえ。何も」 狭い車内では独り言さえも簡単に聞えてしまう。 私の可愛げのない返事に、湊さんは困惑したため息を洩らしていた。
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