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それから、日付けが変わる少し前に湊さんのマンションに到着した。
お母さんが持たせてくれたお土産を、トランクから出している彼のその背中を見ている私。
静かな駐車場にはトランクが閉まる音が低く響いた。
まだまだ怒りは継続中の私は、今日くらいは自分の家に帰ろうかどうか悩んだけれど、結局あのまま湊さんの車に乗ってここに帰って来てしまう辺り、やっぱり離れたくない気持ちの方が大きいんだろう。
「ほら、帰ろう」
湊さんが一声かけてくれ、荷物をもっていない方の手を私に差し出してくれる。
どれだけ怒っていてもこの手を繋がないという選択肢がない私は、俯いたまま手を繋いだ。
すると、呆れたように笑った湊さんの声が聞えてきた。
「わ、笑わないでください」
「いや、拗ねた子どもをあやしているみたいだなと思って」
「こ、子どもっ?!」
「怒っていても甘えてくる。子どものする事だろう?」
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