プロポーズ編

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もう自分の部屋みたいに思っている彼の部屋で靴を脱ぎ、一息つこうとソファに座った。 「飲むか?」 ワインセラーを開けていた湊さんの手にはワインボトルが一本あり、私に見せてくれた。 「少しだけなら…」 お酒好きの彼だけど今日はまだ一滴も飲んでいないし、結果はどうであれ私の両親に会ってくれ、疲弊しきっている湊さんを労わりたい気持ちもあった。 ワイン一杯のお付き合いくらい、どうって事ない。 「何かおつまみ作りましょうか?」 「いや、いい。座ってろ」 役割反対なんじゃないの?って思うけれど、私が向かってもテキパキと動く彼の邪魔になるだけなので、今はこうしてソファから湊さんの姿を眺めておく事だけにしておく。 ワイングラスとワインを手にしている彼は、私専属のバーテンダーみたいだなぁ…なんて都合のいい想像なんかしたりして。
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