プロポーズ編

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その赤ワインは湊さんには珍しくネット宅配で頼んでいた商品。 そして開封してめちゃくちゃ驚いた。 だってそのワインは私でも知ってるイタリア、ピエモンテの有名なガヤの”ソリ・サン・ロレンツォ”と呼ばれる高級ワイン。 市場に出回る事もあまりなく、手に入れる事も難しいっというワインだ。 どうしてこんな物を…?っとその時は思ったけれど、もしかしたら今日この日のために買っておいてくれたのかもしれない。 絶対…そうだと思う。 お互いの両親に会って、ちゃんと認めてもらえたお祝いとして買ってくれたんだ。 湊さんは慣れた手付きでソムリエナイフでコルクを抜き、ゆっくりとボトルを傾けてワインを片手でグラスに注ぐ。 「いや、謝るのは俺の方だな」 ボトルを少し回してワインの雫を切りながら、湊さんのさっきまでの怒った顔は申し訳ない表情に変わっていた。
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