プロポーズ編

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照れを誤魔化すために何度かワインを口に含むけれど、「そんな飲み方は勿体無い」っと怒られてしまった。 だってワインを味わうマナーなんて知らない。いまだにバーに行ってもオーダーするのはとりあえず生ビールの私だし。 そしてグラスの中のワインがそろそろなくなる頃、飲みなれない高級ワインと今日一日の疲労で、私はすでに睡魔に襲われていた。 彼の肩に寄りかかり、瞼が虚ろに閉じたり開いたりを繰り返す中で、湊さんの声が耳に届く。 「今度……」 「ふぁい?今度?今度がどうしたんですか?」 「……いや、いい。絶対に今の琴では覚えていないだろうから。もう眠りなさい。疲れただろう」 ぽふっと彼の手の平で目を覆ってくれたから部屋の灯りは遮断され、そのままズレ落ちて湊さんに膝枕をしてもらう。 やっと落ち着くところに落ち着いた私は、もうそのまま甘えて深い眠りへと落ちていった。
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