プロポーズ編

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何度も思い出しても、自分の言ってしまった言動は琴にとっては最悪な思い出にしかならないだろう。 自分の両親の前で、一生で二度と言われる事がないあの言葉。 それを軽々しくご両親の前で言い放ってしまった事に対して、激しい怒りが自らを襲う。 俺から言ったのに。 プロポーズの言葉だけは誰にも見られず、聞かれない場所で言うっと。 それをいとも簡単に覆してしまった。 彼女が矛盾だらけの俺の行動に怒りを覚えるのは当然だ。 あの日から数日過ぎた今は、何とか平然を取り繕ってくれているが、きっと内心は苛立ちをずっと募らせているだろう。 それに俺への信用も信頼も無くなりつつあるのかもしれない。 彼女からそれを取り戻すにはどうすればいいか…… それをこの数日、ずっと考えていた。
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