プロポーズ編

41/92
前へ
/434ページ
次へ
にやけてしまいそうになる表情筋を精一杯抑えて、柊さんを見上げる。 「今の電話は打ち合わせのスケジュール確認だと思って繋いだだけです。 決して私用目的では…」 「わかっている。はぁ…全くどいつもこいつも。この電話で何度目ですか」 「えぇっと…今月に入って3…いや5回目?でもこの人だけではなくて…」 「思い返さなくていいです。虫唾が走る。打ち合わせは終わりましたので店舗視察に出ますよ、準備をしなさい」 「は、はいっ!」 あからさまに苛立ちを見せている柊さんに続き、私も外出の準備をする。 今日はこのまま何も予定が入らなければ二人で直帰の予定。 仕事が終わり次第デートの時間になるのだから、同じ職場である事に私はとても満足しているのだけれど、彼にとっては時々そうではないみたい。 この苛立ちがそれを物語っている。
/434ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5014人が本棚に入れています
本棚に追加