プロポーズ編

42/92
前へ
/434ページ
次へ
そんな柊さんは傍から見ると、触れたら噛み付かれそうな雰囲気が漂っている。 今まで仕事にクールだった人とはとても思えないくらい。 でも、そんな彼に物怖じせず絡んでくる一人の先輩が来た。 「まーたイライラしてるのか?ほら、眉間に皺。あんまり寄ってると老け顔がさらに老け顔になるぞ」 柊さんの肩に手を置き、私が最近学んだ禁句をあっさりと言い放ってしまった人、吉沢さん。 今日も眼鏡の奥の瞳はいやらしい笑みを浮かべている。 「……この顔は生まれつきです」 「ばかやろう、生まれつき老け顔の赤ん坊がいるか。そんな顔で店舗視察に行ってみろ。ここの評判が悪くなるだろうが」 そう言いながら吉沢さんは柊さんの眉間の皺を人差し指でグリグリする。 そんな二人を見ている私はいつ彼が怒り出すのかハラハラしていた。
/434ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5014人が本棚に入れています
本棚に追加