プロポーズ編

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くしゃくしゃになった髪の毛を自分でセットするよりもずっと丁寧に梳かしてくれる。 夕方にはいつも広がっているおかっぱ頭は、エレベーターが到着する頃には朝のセット以上に綺麗に仕上がっていた。 「ありがとうございます…」 「いいえ。あのような髪型で店舗に行くわけには行きませんから。 それと前から一つ言っておきたかった事があります」 「な、何ですか?!」 久しぶりにお小言だろうか? ここ最近、あまり言われなくなっていたお小言なだけに、私の胸に緊張が走る。 エレベーターに乗り込み1階のボタンを押し、私は固まったまま彼からの言葉を待った。 そして、扉が閉まると同時に語りだす。 「社内で…」 「しゃ、社内で?」 後ろに佇む柊さん…この威圧感、懐かしいけどちょっと怖い。
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