プロポーズ編

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でも、それを言うなら柊さんだって私がお誘いの電話を受けた後、お家でしか見ないヤキモチを妬いた視線を送っていた。 これはお互い様だ。 「それを言うなら柊さんもそうです。さっきヤキモチ、妬いていませんでした?」 「…私がいつ?どのような時に?私情を持ち出したと?」 「思いっ切り持ち出してました。私がお誘いの電話を受けた時に…」 「それは後輩が困っているのなら先輩が助けを出すのは当たり前でしょう。それに私はそんな失態はしません」 「いーえ、してました」 「してない」 「してました」 「しつこいですね」 「だって柊さんが認めないんですもん」 「……生意気な口を利くのはこの口か?」 突然、家で過ごす時の自然体になった彼の変わり身の早さに驚いて言い返していた言葉が止まった。 そしてさっきまで髪を梳いていてくれた指先が唇に押し当てられる。
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