プロポーズ編

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柊さんは行きの車の中ではすっかり仕事モードに戻っていて、自らが手がけた店舗へ出向いて市場調査を行った後、軽く店員教育についての方策の打ち合わせを店側の責任者と行い、今日の業務は終了。 終始、私は隣でその流れを見ているだけに終わった。 「帰ろうか」 店舗を出た途端、口調も雰囲気もガラリと変わる湊さんは、今まで打ち合わせをしていた人達から死角の位置になると、肩に手を置いて私を助手席へと誘導してくれる。 この一瞬で、私もようやく仕事から解放されるんだ。 「はい、お疲れ様でした!」 そして笑顔で業務終了の言葉を告げる。 ふわっと柔らかく微笑んだ湊さんの向こうに見える夕陽がまだ暮れてないところを見る限り、今日は思っていたよりも早く仕事を終えられたみたい。 いつもより二人の時間が多く取れた。 仕事も楽しいけれど、やっぱりこうして二人でいる時間も時には多く欲しい時もある。
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