プロポーズ編

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変化を始めたのは会社も通り過ぎて、以前伺った彼のご両親が眠るお墓がある場所へ向かう道を走り始めた時からだ。 「あれ…湊さん?ここ、ご両親が眠られているところじゃ…… 今日はお墓参りですか?」 「いや、違う。ここは通り道だから通っているだけだ。 墓にはまた今度行こう」 「そう…ですか。じゃあ私、ここからご挨拶しますね」 霊園を通り過ぎる時、彼のご両親が眠っているお墓がある方向に向かって手を合わせて簡単だけどご挨拶をした。 車のスピードは少し遅くなったから気を利かせてくれたんだ。 『また、お邪魔します』 っと、そう言葉を送って、車はまたすぐにスピードを上げて走り出す。 そして向かうはさらにその先の道。 でも、ここからはどこからどう見ても、見るものすべてが私も湊さんも強く印象に残っている…… そんな場所へと辿り着いた。
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