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湊さんは礼儀正しく挨拶をした後、道案内を受けて車に戻ってきた。
「教職員側から入れてくれるらしい。車を回すから琴は先に行っててくれ」
「行っててくれって……どこにですか?」
「加納先生が図書室を開けて待ってくれている。そこで待っててくれ」
まさかに居場所を聞いて、一気に頭から足のつま先まで熱に侵された。
湊さんが言った場所は私達にはあまりにも思い出が詰まりすぎているあの場所。
今まで平然としていた顔の湊さんも、さすがに照れ臭いのか頬が少し朱色に染まっている。
湊さんがやり残した事って……図書室でいったい何があるっていうんだろう。
「琴」
名前を呼ばれてハッと息を吸った。
今の衝撃で上手く動けない私の代わりに彼にシートベルトを外してもらい、頭を引き寄せられてこめかみにキスをしてもらう。
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