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そして穏やかな低い声で耳元で囁かれる。
「すぐに行くから」
「……はい」
そう言うだけで精一杯。
どうにか動いた手で助手席の扉を開け外に出てゆっくりと扉を閉めると、湊さんは車を駐車させに教職員側の門へと向かった。
「うわ……緊張してきた」
これから何が起こるのか全く分からない状況に、10年振りに足を踏み入れる中学校の校舎。
中に入るためもう一度インターフォンを押すと、懐かしい加納先生の声が聞えた。
「あっ、何度もすみません…あの、ここに通っていたあの、御坂と…」
『はいはい、御坂さんね。扉の鍵は開いてますからどうぞ』
先生は私の慌てっぷりに笑いながら答えてくれる。
正門のすぐ隣にある小さな門を開け、私は10年振りに中学校を訪れた。
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