プロポーズ編

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土曜日だからグラウンドには部活中の生徒はいるけれど、校内は静まり返っている。 それが通っていた当時の放課後を思い出させて、私の中で緊張から高揚とした気分へと変化するのは時間はかからなかった。 「湊さん、図書室って言ってたよね。わっ……懐かしいな」 ずらりと並ぶ靴箱を眺めながら、次々と懐かしい記憶が蘇ってくる。 転校してきたばっかりの1年生だった私。 中学校がどんなところか分からないまま、名前しか知らない同じクラスの男の子とわけがわからず図書委員に指名されたんだ。 幸い顧問の加納先生がとても優しい人で親身な先生だったから、図書委員になった事を運が悪いなんて思ったことはなかったけれど。 今もあの時も運が悪いどころか、図書委員になってよかったって心から思ってる。
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