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そのカウンターに出入り口に周りこんで入ると、変わっていない椅子が2脚置かれている。
私はその椅子に静かに座った。10年前と同じように。
前を向くと、少しだけ目線が高くなった懐かしい景色が目の前に広がっている。
少し埃が舞う図書室は、窓から入ってくる橙色の明かりに照らされて小さな光を輝かせながら宙を舞う。
自然にため息が出た。
ここから真っ直ぐに薄っすらと見える幻はあの日の彼の面影。
ここから見てた、10年前の湊さんだ。
「わっ……何だか色々と鮮明に思い出してきちゃった」
途端に熱くなってくる私の心と顔は、まるで湊さんに恋心を抱いていた10年前の私に戻ったみたいに興奮してきた。
これは危ない。彼がここに入ってくる前に元に戻さなくては…っと思うのに、そう簡単に初恋の心は戻ってくれないらしい。
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