プロポーズ編

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そんな私を見て彼も小さく笑うと、カウンターに手を置き座っている私の前に立つ。 そして、私が彼から語られなければ知る由もなかった事を次々に教えてくれた。 「懐かしいな。あの時、俺なりに会話の糸口を探して毎回琴に話しかけていたんだが……何を話しかけていたか覚えているか?」 「えっ?えっと…… あっ!あの、もしかして読みたい本を探すのにわからないからって私に聞いてきたアレですか?!」 「覚えていたのか。琴の記憶力にはあまり期待していなかったんだけど」 「もうっ!湊さん!」 今までの事があるからか、大事な事はどうも忘れられているっと思われがちな私だけど、さすがに彼との事は覚えている。 「ちゃんと覚えていますよ。だって大切な初恋の思い出なんだから」 「お互いにな」
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