5019人が本棚に入れています
本棚に追加
また、とくんって可愛い音が胸に鳴り響いた。
あの時の彼が成人した姿でここに現れて、こうして過去の事を語り合えている。
物凄く、不思議な時間だ。
「あ、あの、そういえば加納先生は?私、てっきりここで会えるのかと思っていたんですけれど」
「あぁ、先生は校長室にいる。加納先生にはここを開けておいてもらうように頼んだだけだから。
後で二人で会いに行こう」
「そう…なんですか?えっ?そのために昨日、先生に会ったんですか?」
「とても大切な事だから。どうしてもここで言いたかったんだ」
今、とくんって音が今日一番の大きな音が鳴り、彼を見上げる私の身体を硬直させた。
”大切な事”ってなんだろう……
加納先生まで巻き込んでいったい何がしたいんだろう、湊さんは。
一直線に見つめる彼は懐かしさに瞳を揺らめかせながら、椅子に座っている私を見つめている。
最初のコメントを投稿しよう!