プロポーズ編

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それを伝えた途端、ふっと二人分の影が重なった。 私を抱き締めてくれていると思っていた湊さんは、少しの距離を開けてすぐに優しくキスを落としてくれた。 「み、湊さん!ここっ、学校ですよ!」 「誰もいない」 「そういう問題じゃなくって……」 「こういう事、一度はしてみたいと思っていたんだ」 「えぇ?!湊さんらしくないですよ!」 「そうだな、昔の俺なら考えられない。 でも吉沢さんも言っていただろう?琴に出逢ってから俺は変わったと。 琴に出逢わなければ、ずっと冷めたつまらない人生だった。 ____ありがとう、俺の初恋の人になってくれて」 軽く唇を触れ合わせながら囁いてくれる言葉にのぼせそうになる。 いや、もうとっくにのぼせているのかもしれない。 10年前に彼に出逢った時から、私の心もずっと湊さんのものだ。
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