第1章

2/23
938人が本棚に入れています
本棚に追加
/288ページ
その日は上を見上げると、視界にはたくさんの桜色と、その隙間から眩しすぎる位の太陽の光が私達を照らしていた。 あまりの眩しさに手で影を作ってしまうほど。その影を頼りに私はバス停に一人、佇んでいた。 ある人を待って。 「遅いなぁ…もう少しでバス来ちゃう。どうしよう…」 始業式早々遅刻だなんてとんでもない話だ。深谷君はいいかもしれないけれど、今日から生徒会長を任されている私。 会長が遅刻だなんて、そんなことあってはならないのに。 「あっ、また深谷君って言っちゃった…」 なかなか一年の時から抜けない癖。深谷君は私が転校してきた一年の時からお付き合いしている彼氏。 なかなか名前で呼び合えなかった私達は、ある日から呼び合おうって事になったんだけど、私だけがどうも慣れなくて未だに”深谷君”って呼んでしまっている。
/288ページ

最初のコメントを投稿しよう!