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その日は上を見上げると、視界にはたくさんの桜色と、その隙間から眩しすぎる位の太陽の光が私達を照らしていた。
あまりの眩しさに手で影を作ってしまうほど。その影を頼りに私はバス停に一人、佇んでいた。
ある人を待って。
「遅いなぁ…もう少しでバス来ちゃう。どうしよう…」
始業式早々遅刻だなんてとんでもない話だ。深谷君はいいかもしれないけれど、今日から生徒会長を任されている私。
会長が遅刻だなんて、そんなことあってはならないのに。
「あっ、また深谷君って言っちゃった…」
なかなか一年の時から抜けない癖。深谷君は私が転校してきた一年の時からお付き合いしている彼氏。
なかなか名前で呼び合えなかった私達は、ある日から呼び合おうって事になったんだけど、私だけがどうも慣れなくて未だに”深谷君”って呼んでしまっている。
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